新横浜ラーメン博物館(以下、ラー博)が2024年に迎える30周年に向けて、2022年7月1日から「あの銘店をもう一度」プロジェクトをスタート。過去に出店したことのある約40店舗の銘店が2年間かけ3週間のリレー形式でラー博に出店する、ラー博史上最大のプロジェクトです。
銘店シリーズ第15弾として4月25日~5月15日まで「支那そばや」が出店。3週間限定で復刻した鵠沼時代の「らぁ麺」を食べに行きました。
鵠沼時代の「支那そばや」について
「支那そばや」を創業したのは、ラーメン業界に多大な影響を与え、人生の全てをラーメンに捧げた佐野実さん。1951年に神奈川県横浜市戸塚区に生まれた佐野さんは、中学校・高校時代はアルバイトをして家庭を支えつつ小遣いを貯め、そのお金で好きだったラーメン店に通っていたそうです。
高校卒業後は、洋食のレストランに就職。それから17年間、洋食のコックとして店を渡り歩き、趣味でラーメン店の食べ歩きを重ねていました。食べるだけでなく、休みの日には自宅でラーメンを作るようになり、次第に独立してラーメン店を開きたいと思うようになったそうです。
ついに1986年8月6日、神奈川県藤沢市の鵠沼海岸に「支那そばや」を開店。ここから佐野さんのラーメン人生がスタートします。
「食材の鬼」と呼ばれた佐野さん
佐野さんは「生産現場を訪ね、自分の目で確かめたものだけを使いたい」と、徹底的に食材にこだわる姿勢から「食材の鬼」と呼ばれていました。やがては国産小麦の自家製麺にもこだわったラーメンを提供するようになります。
ラー博には2000年3月11日から2019年12月1日まで出店していました。佐野さんはラー博の製麺所でも麺を打っており、ラー博で食べた絹腰和伊麺(きぬごしわいめん)や黒小麦麺(くろこむぎめん)などの自家製麺のおいしさは今でも記憶に残っています。
創業時の想いを感じられる、復刻「らぁ麺」
現在は横浜市戸塚区に本店を構える支那そばや。今回の出店では、その原点である鵠沼時代の「らぁ麺」を、佐野さんが当時書き留めていたレシピを基に「鵠沼 醤油らぁ麺(税込1400円)」として3週間限定で復刻しています。
鵠沼 醤油らぁ麺、名古屋コーチン玉子かけごはん(税込500円)をオーダー。
まずはスープをひと口。佐野さんが食材探求のきっかけとなった名古屋コーチンの丸鶏を主体に数種類の鶏をブレンドしているとのこと。鶏と昆布などの魚介の風味が豊かで、まろやかな醤油味。
麺は中細麺で、ややザラっとした食感です。今回は3週間のためだけに、江別製粉の協力のもと「ハルユタカ」を主体とした当時の麺を再現しているそうです。
具材は山形県平田牧場「三元豚」のバラチャーシュー、当時使用していた台湾産の短冊メンマ、そして九条ネギ、有明産の海苔。どれを食べても「おいしい」という言葉しか出てきません。
そして、合間にいただく玉子かけごはん。これまた、おいしいのなんの。濃厚な玉子とそれを受け止める釜炊きの新潟魚沼産コシヒカリの旨みがたまりません。
残念ながら鵠沼時代のラーメンを食べたことがないのですが、当時からハイレベルな完成度だったのだな、とあらためて佐野さんのラーメンにかける思いの強さを感じました。ごちそうさまでした。5月15日までの出店です。
新横浜ラーメン博物館 概要
住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
入場料:大人380円、小中高生・60歳以上100円 ※このほか、6ヶ月パス(500円)、年間パス(800円)があります
営業時間:平日 11:00~21:00、土日祝 10:30~21:00 ※変動する場合あり
アクセス:JR新横浜駅より徒歩5分、横浜市営地下鉄 新横浜駅8番出口より徒歩1分
URL:https://www.raumen.co.jp/
【関連記事】