神奈川大学がSDGs実現に向け、産官学民連携の「プラットフォーム」事業をスタート。第一弾は、観光をテーマとした「観光プラットフォーム」の構築で、産官学民連携プロジェクトにより、ビッグデータを解析し、コロナ禍で落ち込んだ観光業の問題解決に取り組みます。記者発表会の様子を紹介。
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神奈川大学「プラットフォーム」事業とは
神奈川大学は、SDGs達成にあたって大学の役割が非常に大きくなっていると考え、教育・研究を進めるべく、2018年8月に「神奈川大学ダイバーシティ宣言」を発表しました。さらに、2019年4月には「SDGsへの神奈川大学のコミットメント」を表明しています。
その成果が表れ、大学の社会貢献度をSDGsの枠組みで可視化する「THE Impact Ranking 2021」では、世界の総合ランキングでは上位5%以内に、国内ランキングでは33位を獲得しています。
「プラットフォーム」事業は、さらなるSDGsの達成に向けて2021年9月に開始しました。国内外の地域コミュニティが抱える多様化・複雑化した環境、経済、社会的課題に対して、総合大学の知を活かしつつ、神大パートナーシップ、包括連携協定先、自治体・外郭団体、地域住民等との連携を強化し、オープンイノベーションで解決を図ろうとするものです。
研究会で議論し、産官学民連携プロジェクトで課題解決をはかる実践型の事業で、新たな教育・研究を展開します。
同学の兼子良夫学長は、「SDGsに向き合うことは、持続可能な社会を創生する人材の育成につながると考えております。また、本学創立者である米田吉盛は『教育は人を造るにあり』という理念のもと、勉学意欲のある方々に教育の機会を提供してまいりました。その思いはSDGsが目指す『誰一人取り残さない』、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に合致するものでもあります」と、同事業の意義を語りました。
観光プラットフォームで取り組むこと
「プラットフォーム」事業の第一弾として掲げたテーマは「観光」。その理由について横澤勉副学長が、「“観光ど真ん中”の国際日本学部、国際文化交流学科、観光文化コースを中心に、2022年4月開設予定の建築学部、工学部、経営学部など、多様な教員・学生の参加が見込めること、みなとみらいキャンパスが開業し、共創の場となる観光ラウンジができたことの2点が挙げられます」と、ソフトとハードが整ったことを説明しました。
合わせて、同学がある横浜市の重要施策のひとつとして、中期4か年計画(2018年~2021年)において「活気あふれる観光・MICE都市」を掲げていることから、データに基づいた観光施策の推進をサポートしたいとしています。
観光プラットフォームに参画するためには、神大パートナーシップへの入会が必要となります。12月15日時点での企業数は27社。2022年度には50社を目指します。特に、データ連携・PM連携での戦略構築企業、実行フェーズの連携でのコンテンツ開発企業を中心に開拓を行っていく予定です。
具体的な取り組みについて
観光プラットフォームで取り組んでいる具体的な2種類のプロジェクトについて、担当教員と学生が次のように説明しました。
1.イノベーション創発プロジェクト
フェーズ1では、公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー、Avintonジャパン株式会社、工学部経営工学科髙野倉ゼミが参画。横浜観光コンベンション・ビューローが持つ観光関連データを活用し、ビッグデータの解析などの技術を持つAvintonジャパンが分析ツールのスキルを提供、髙野倉ゼミ生(3名)が横浜の観光データを収集、分析、可視化するデータプラットフォームの構築に取り組みます。
フェーズ2では、2022年4月に開設される建築学部の教授、生徒も参画予定。建物だけではない、あらゆる視点から、人々の暮らしをより豊かで、楽しく、快適にデザインする観点から観光に関する問題解決を目指します。
2022年3月下旬までに現状を分析し、2022年度中にAIモデルを実装、2023年以降に結果を出すとしています。
2.課題解決プロジェクト
横浜観光コンベンション・ビューローが持つ課題を解決するためのプロジェクトで、横浜を観光客から選ばれる街にするために必要な「観光情報の発信の在り方」を考察し、観光客向けメディア戦略(ホームページ、SNS、印刷物)の再構築に挑戦します。
経営学部国際経営学科中見ゼミと8名のゼミ生が参画。横浜出身とそれ以外の出身者を選出し、多様な価値観をもつZ世代のゼミ生らが、横浜をどうブランディングし、どのようにして横浜のファンを増やしていくか、独自の視点で結論を見出していきたいとしています。
こちらも2022年3月下旬までに既存メディアの現状分析、改善を提案し、その結果をふまえ、パートナー企業と連携し、改善に取り組みます。
進捗状況については、同学のホームページ等で発表していく予定とのこと。今後の動きにも注目です。
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