新横浜ラーメン博物館(以下、ラー博)が2024年に迎える30周年に向けて、2022年7月1日から「あの銘店をもう一度」プロジェクトをスタート。過去に出店したことのある約40店舗の銘店が2年間かけ3週間のリレー形式でラー博に出店する、ラー博史上最大のプロジェクトです。
銘店シリーズ第22弾として2023年9月19日~10月2日まで福岡「魁龍(かいりゅう) 博多本店」が出店。“どトンコツ”ラーメンのパンチが効きまくりでした。
福岡「魁龍 博多本店」について
「魁龍」は1992年に福岡県北九州市小倉で開業しました。店主の森山日出一さんは福岡県久留米市で生まれ、幼いころからラーメン店主だった父親の味に親しんで育ちます。
父親の久留米ラーメンの味が忘れられず、当時、18店もの飲食店を経営していたキャリアを捨て、父親に紹介された久留米のラーメン店でラーメン作りを学び、「魁龍」をオープンさせたのでした。
父親の味、自分が好きな久留米ラーメンの味を追求し、その結果、どんどん濃厚な味になっていったといいます。「魁龍」がラー博に出店したのは、2001年7月11日~2004年8月31日。当時、ここまで超濃厚なとんこつラーメンはほかにないだろうとのことで、通常のとんこつラーメンと差別化するため、“どトンコツ”という言葉で表現されていました。
店主・森山さんの声が絶えず響く店内
私が訪れたのは土曜日のお昼。「ラーメン(1100円)」と「ごはん(200円)」「魁獣みそ(50円)」の食券を購入。並んでから1時間かからずに入店することができました。
店内では店主・森山さんと来店客とのフレンドリーな会話が絶えません。森山さん愛用の前掛けを撮らせていただくと、「下の模様は雷文じゃないでしょ。『DOTON』って書いてあるでしょ」と説明してくれました。
19年ぶりの“どトンコツ”に感動
スープに使用されるのは豚の頭と背脂だけで、豚頭を焦がさないよう付きっきりで24時間、ひたすら煮詰めます。そのため、ひと釜で仕上がるスープは多くても50~60杯分。
“どトンコツ”のもう1つの秘密は、創業以来注ぎ足し続けてきた「呼び戻し」方式。完成したスープをベースに、豚頭と水を加え、新しいスープの仕込みを行います。熟成されたスープと若いスープが絶妙なバランスを醸し出し、濃厚でありながらマイルドな口当たりのトンコツスープとなるのです。
濃厚さを象徴するように、スープを飲み干すと、丼の底には溶けた骨粉が残ります。ラー博の歴代トンコツラーメンの中でも印象的なスープだったと、私も記憶しています。第21弾「ふくちゃんラーメン」が上品で飲みやすいトンコツスープだとすると、今回の「魁龍 博多本店」は一口目からパンチの効いたまさに“どトンコツ”でした。
麺の固さは「ずんだれ」一択
麺は2日間寝かせた低加水で中細のストレート麺を使用。「ずんだれ」とはやわらかく茹でた麺のことです。
博多・長浜ラーメンのイメージで「トンコツラーメン=バリカタ」でオーダーする人が多いとのことですが、「魁龍」では「かた、ふつう、ずんだれ」の3種類。スープとの相性を考え、やわらかめの「ずんだれ」を推奨しています。
森山さんによると、「バリカタ」はラーメン店が客の回転率を上げるために始めたものなので、麺の味を楽しみたいのであればおすすめしないとのこと。ラー博では「ずんだれ」で提供されます。
「魁獣みそ」はラーメンに入れないで
ごはんには「魁獣みそ」がトッピングされています。「魁獣みそ」は魁龍のオリジナル。もろみとちりめん・唐辛子に柚の風味で、ごはんとの相性はバツグンです。
「魁龍」は開店当初、聞き慣れない店名を、よく「カイジュウ?」と間違われたことに由来しているそう。「魁獣みそは、ラーメンに入れないでください」という注意書きが店内のあちらこちらに貼ってありました。
森山さんは「福岡に来るときは、博多のほうに来てね。小倉は本店じゃないから」と来店客に強調していました。創業の地は小倉ですが、現在の本店は博多なのでご注意を。
「魁龍」の出店は2023年10月2日まで。次回の第23弾(10月3日~10月30日)は楽しみにしていた宮城・気仙沼「かもめ食堂」が4週間出店、その次の第24弾(10月31日~11月20日)は旭川「蜂屋」が出店します。
新横浜ラーメン博物館 概要
住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
入場料:大人380円、小中高生・60歳以上100円 ※このほか、6ヶ月パス(500円)、年間パス(800円)があります
営業時間:平日 11:00~21:00、土日祝 10:30~21:00 ※変動する場合あり
アクセス:JR新横浜駅より徒歩5分、横浜市営地下鉄 新横浜駅8番出口より徒歩1分
URL:https://www.raumen.co.jp/
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